3月に入り、ニュージーランドは秋の盛りです。日中の気温はまだまだ暑いですが、朝晩はひんやりとした空気が気持ちのよい季節となりました。
2月の初めから3週間を日本で過ごして帰国してみると、わが家の10エーカー(約4ヘクタール)の庭のブラックベリーの茂みはフルーツの最盛期を終えていました。去年は夕方になると長靴を履き、日本製の竹ざるを持って敷地の境界線に生えるブラックベリーの茂みを歩き回わったものです。
小一時間もするとその日に熟した黒くて甘いバラックベリーが、ざる一杯になります。ブラックベリーの木は棘(とげ)だらけですから長靴で足を守り、摘むときは指を刺されないように気をつけなければなりません。そうして摘んだブラックベリーはリンゴと一緒に煮てパイにしたり、ジャムにしたりします。そして余ったものはそのまま冷凍して1年を通して使います。
ブラックベリー収穫は逃したものの、今年は3月の初めに帰国してみるとマッシュルームの収穫が待っていました。かさの部分が白く内側が茶色いシイタケのような大きさと形のマッシュルームが、この秋には家の敷地内の牧草のあちこちに顔をだしていて、1週間ほど私と夫はざるを持って毎日集めて回りました。摘んでも摘んでも次の日には同じところにまた次のマッシュルームが育っていて、それは不思議なほど早い成長です。10エーカーの庭からの収穫は夫婦2人では食べきれませんでした。
このマッシュルームは数年前に大豊作の年がありましたが、その後は乾燥した天気の関係で不作が続いていました。ところが今年は2月の末にほどよく長雨が続き、土が好条件になったようで、また大豊作となりました。
私たちはこのマッシュルームをホワイトソースであえたり、バター焼きにしたり、毎日飽きるほど食べ続け、友人にも分け、最後にはマッシュルームソースを作って冷凍しました。
そして3月初めには庭のイチジクも熟し始めましたが、今は最盛期を迎えています。また今年は8年目を迎えたわが家のカキの木も実がたわわになっていて、フィジョア(ニュージランド独特の果物)とともに、もうすぐ熟し始めるでしょう。
海では今が一番、アジがよく捕れる季節です。夕方、フィティアンガの波止場に糸をたれるとアジがかかります。以前、ある夕方に私は波止場で釣りをしていてアジの群れにいきあたりました。日本製のサビキ針を使って次々とかかる中、アジで2つのバケツはすぐ一杯になってしまいました。驚いたことにヨーロッパ系ニュージーランド人はアジを食べません。彼らはアジは猫の餌と考えているようで、波止場でアジが捕れても猫用以外は海に戻してしまいます。私はもちろんその日はアジのタタキとソテー三昧でした。そして残りは二枚開きに下ろして自己流干物にして冷凍しました。
ニュージーランドの田舎に住んでいるとその気にさえなれば自給自足に近い生活が割合簡単にできます。でもそれを可能にするのは、まず第一に時間の使い方でしょう。そして生活を自然の恵みに合わせて働くというのは都会の生活とは違った意味であんがい忙しいものです。(フィティアンガ在住)
【写真説明】庭でとれたマッシュルームとイチジク
【略歴、略歴写真は、前回と同じ】
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