圭織さんが留学を考えたのは中学生の時だったそうです。中学1年生になっていじめにあい、学校ではなにかと友人関係で悩む事が多かったという圭織さん。そんな時に地元の新聞でニュージーランドでホームステイするという短期留学プログラムのキャンペーンを見つけます。もともと引っ込み思案で留学なんて大それた事は自分にはできないと思っていたそうですが、学校生活に行き詰っていた圭織さんは思い切って留学にチャレンジする事にしました。結果、この留学体験によって圭織さんの視野は大きく広がります。世界は広い、自分は今まで小さな世界しか知らなかったと気がつくと日本で悩んでいた友達関係の悩みが小さな事に思えるようになり、心が楽になったと言います。そして中学校を卒業する頃には長期留学をしたいと強く思うようになりました。15歳で海外へ行くのは早すぎるとはじめは反対をしていたお父さんですが、そんなお父さんを説得し、圭織さんは中学卒業後にニュージーランドのエバコナの高校準備コースに留学することができました。
留学1年目はエバコナの高校準備コースでニュージーランドの11年生(日本の高1)の国家試験NCEAレベル1を終了し、次年度にニュージーランドの高校の12年生(日本の高2)に編入した圭織さんですが、はじめはニュージーランドの学生たちが話す英語のスピードについていけず戸惑い、また12年生のNCEAレベル2の勉強やお友達作りにも苦戦したそうです。しかし自分なりのペースで根気強く周りの人に話かけているうちに、少しずつ積極性もついてきて、だんだん自分に自信もつけていきます。高校では自分の好きな科目、アートやフォトグラフィー(写真)等の科目に没頭し自分の好きなことを追求する中で圭織さんは勉強面でも自信を得ます。特にアートでは13年生の時に日本文化とニュージーランドの文化を統合するというテーマの作品集(ポートフォリオ)を作成、またフォトグラフィーでは気に入った写真家の作品スタイルを研究し、そこから自分の作品スタイルを考案して仲良しだったお友達にモデルになってもらい、様々なロケーションで撮影を行った写真集を作成したそうです。
ホームステイでは2年間同じファミリーにステイし、血のつながらない他人とも本当の家族のように親しくなり過ごすという経験をしました。そのホームステイには生まれて間もない赤ちゃんがいたので、赤ちゃんが日々成長していく姿を家族の一員としてそばで見守れたことは本当に貴重な体験だったと圭織さんはその頃を振り返って話してくれました。
高校を卒業後、圭織さんはオークランドにあるWhitireia Polytechnic(専門大学)でHospitality(接客や観光業)やManagement(マネージメント)の勉強をします。高校を卒業するころはまだ自分が何をしたいかはっきりと分からなかった圭織さんですが、ともかく接客や観光業を学んだら幅広い仕事があるだろうと思い、このコースを選んだそうです。そして修学中から日本食レストランでアルバイトをはじめ実務経験を積みます。コースを終了するとその日本食レストランでフルタイムの仕事をオファーされ、本格的に仕事を開始。その職場では能力を見出され、Supervisor( 管理側の仕事)へと順調にステップアップしていきました。数年前には新しいレストランに転職し、わずか24歳で店長となります。以来、人を雇う側となり、職場では経験豊かな周りから頼られるボスになりたいと、日々緊張感を持って努力を重ねているそうです。
この店長という仕事を通して圭織さんはチームワークの重要性も痛感しました。自分が雇った人材がどうしたらそれぞれの能力を発揮してよいチームワークができるかを日々考えるそうです。また店長という仕事をするうえで圭織さんは留学経験を通して学んだコミュニケーション・スキルが自分にとっての宝だと言います。どのような話し方をしたら相手の心に届くのか、相手に分かりやすく説明するにはどうすれば良いのか、圭織さんは人とのコミュニケーションスキルというものはどの人の人生においても大事な基盤になる部分であり、その重要なスキルを留学という経験を通して体得することができたと言います。
高校を卒業し、エバコナのケアを離れてからはビザの申請からアパートの契約まで何から何まで自分でやらなければならなくなり最初は大変だったそうですが、それも一つ一つ自分でやる経験を通して自信をつけ、何事もやればできると思える今の自分があるそうです。
数年前にはニュージーランドの永住権も取得した圭織さん。まだまだ挑戦したい事が沢山あると話しており、これからも自分がやりたいと思った事にはどんどん挑戦していきたいと力強く話してくれました。
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