長男が晴れて大学を修了して家に戻ってきた。
ニュージーランドの大学は欧米の大学と同じで卒業するのが大変難しい。だから大学での4年間、工業デザインを専攻していた長男は勉強に明けくれていた。それでこれからしばらくは休暇をとろうという計画だ。大学の正式な卒業式は来年の5月なので、それまではバイトをしながら過ごし、就職活動はその間にするという。
家に戻って1週間もしないうちに長男は長距離自転車旅行の準備を始めた。大学時代の友達とここから500キロ先の温泉町ロトルアで待ち合わせて、北島の中部を回るのだという。これは前々から計画していたらしく、準備が整うとさっさと出かけていった。
10日ほどするとエネルギーを使い果たして真っ黒に日焼けした長男がまた戻ってきた。こんどはしばらく実家で休んでから住み慣れたウエリントンに戻ってバイトを見つけようと考えていたらしい。しかしウエリントンに戻ってアパートを探し、仕事を探す間の生活費を計算してみるとちょっとまとまった金額が必要になることがわかった。彼は学生時代に国からの低利の学生ローンを組んでいたのでその残りが多少あったが、ここは慎重に考えねばならなくなった。しばらく実家に住んでアルバイトをするのが一番いいのだが、この田舎町では手ごろな仕事が見つかりそうもない。続きを読む