長い学校の夏休みが終わり、家族連れのホリデーメーカーたちがそれぞれの町へ帰って行ったので、フィティアンガの町もやっといつもの静けさを取り戻し始めました。これからは私たちが美しいビーチで夏の日差しを謳歌する番です。そして昼の間ビーチから締め出されていた犬たちもこれからはいつでもビーチに出られます。
ニュージーランドではどこのビーチも、12月半ばから2月の初めまでの間、犬の散歩時間が限られます。 朝の9時から夜の7時までビーチは人間専用となり、お犬様は朝早くか、夜にしかビーチに出られません。犬たちは普段なら鎖も付けず、いつでもビーチを走りまわれるのですが、その自由も夏の昼間はお預けでした。とはいってもニュージーランドの夏の日は長く、夜は9時まで明るいので犬たちにとってあまり支障はないようです。 わが愛犬ベンジーは水泳が大好きで、夏でも冬でもほとんど毎日のように海かクリーク(入り江に注ぐ小川)で泳ぎます。
フィティアンガの町周辺にはたくさんの美しいビーチがあります。まず、町に面した【バッファロー・ビーチBuffalo Beach】は町の波止場から約4キロの長い海岸線で、マリンブルーの水に黄色っぽい砂浜のコントラストが美しいビーチです。遠浅で町中で潮干狩りもできます。町に面しているので毎日、たくさんの犬たちがこのビーチで飼い主と散歩を楽しんでいます。
私とベンジーが一番気に入っているのはバッファロー・ビーチの隣の【シンプソンズ・ビーチSimpson’s Beach】です。ここは2キロにおよぶ黒砂ビーチで、海岸の一方の端には野鳥の保護区があります。ベンジーは野ガモ狩猟用の猟犬ですから、保護されている野鳥を見ると血が騒ぎ追いかける傾向があるので、私たちはそこには近寄りません。もう一方の端にあるクリークを目指して歩きます。勝手知ったるこのビーチでベンジーは海に入ったり出たりしながら嬉しそうに走り回ります。飛んでるカモメを追って全速力で疾走したり、クリークでは私の投げるボールや木の枝を取りに泳ぎ回ります。このビーチは町の中心からちょっと離れているので、あまり人を見かけません。まさにプライベート・ビーチのようで、ベンジーと私はその贅沢を満喫しています。
波止場からフェリーに乗って2分の対岸にあるフェリー・ランディングから歩いて5分の所には【フロント・ビーチFront Beach】があります。ここは紺碧の海に映える白砂です。その色のコントラストはあまりにも美しく、ため息が出るほどです。海岸線は長く、途中で岩場があったりと変化があり、人もあまりいないのでここでもベンジーは喜び溢れて走り回ります。
ニュージーランドの犬たちは普段から自由を満喫しているからでしょうか、浜などで出会うと“グデイ!〈Good Day〉”と言わんばかり陽気にシッポを振りながら近寄り、 お互いを嗅ぎ合うと、後はあっさりと別れてご主人のもとに戻ります。時にはご主人の許可を得て出会った友達と一時じゃれて走り回ったりもします。元気いっぱいの犬たちのエネルギーを発散させるには犬同士の遊びも大事です。大きい犬も小さい犬も一緒に走り回って遊びます。
私は日本に行くと時々、弟の小型犬を借りて散歩をさせるのですが、トイレットぺーパーとアスファルトの道を洗うボトルの水を持たされ散歩にでます。散歩中もリードをしっかりつけたまま、道中でよその犬に会うと、それぞれそそくさと避けて、犬同士の 挨拶もさせずに通り過ぎます。そして帰宅するや風呂場に直行して、お外の汚れを洗われる犬を見て、私はため息が出ました。 憐れ日本の犬どもよ、みんなニュージーランドに留学させたいと思うのでした。
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