みなさんこんにちは。エバコナのカースです。活気に満ちた夏が終わりニュージーランドは今、秋に入りました。なんだかあっという間に夏が過ぎてしまって寂しい気もしますが、ちらほら見え始めた紅葉が楽しみな季節にもなってきました。
先日私はニュージーランドでは有名な社会運動家であり、教育者、作家でもあった Celia Lashlieのドキュメンタリー映画を見ました。ニュージーランドで初めての女性刑務官となった彼女はその後、囚人の更生や社会復帰の支援活動、刑務所システムの改善活動、家庭内暴力、ドラッグやアルコール等深刻な問題を抱え苦しむ人々をサポートし支援する社会活動に生涯をかけました。そして自身が刑務所で指導してきた若い男子たちから学んだ事、また自分自身男の子を育てた経験を生かして、難しい思春期の男の子をどのようにして上手に導き、社会に貢献できる良い大人として育てあげていくかという実践的な教育論を書いて出版し大きな反響を生みました。後半生ではニュージーランド中数々の男子校を回って保護者、教師、生徒たちのための講演会も積極的に行いました。
Celiaの男の子に対する教育論の中心的なメッセージは男の子には小さい時からSelf-control 自己管理能力を経験を通して学ばせていく必要があるというものでした。そのためには早い時期から大人が様々な経験を通して行動=結果(行動=責任)という事を男の子に体験的に学ばせていく必要があるというのです。Celiaが刑務所で出会った多くの若い男子がそのような自己管理能力が養われていなかった結果、「良い決断」と「悪い決断」の判断が上手にできず、刑務所に入ってくるケースを沢山見たきたそうです。
実は先日私も義理の父に自分の子育てについてズバリと注意をされてしまいました。私が子供に対して女親特有の過保護で、子供の上を旋回するヘリコプターペアレンツになり過ぎだというのです。自分では全くその意識が無かったのですが、ついつい先回りし口うるさく色々と言いながら手を出し過ぎたり、子供に自分でやらせないことから子供の学ぶチャンスを奪っているというのです。子供が小さい時は色々と子供の世話をするのは良いのですが、子供の成長の過程に合わせて親は子供から手を放していかなければいけません。
また親は子供に言う事に一貫性を保つ必要があるとも言われました。だから一度言ったルールや条件は絶対に忘れないで撤回しない。私はついつい「○○しなかったら、○○させないからね」等とルールを言い渡しておきながら、後で自分の言った事を撤回して「しょうがないわね・・・」と○○していないのに○○をさせてあげていたりと一貫性の無い事をしていました。このような親の甘さが実は子供が大人の言葉を信じなくなる原因なのだそうです。だから親は子供に対して岩になる必要があるのです。子供の感情の荒波にも絶対にめげない、動かない岩に。そうすると不思議ですが、たとえ反抗していたとしてもそれが最終的には子供の信頼を得ることになり、子供の精神安定につながるのだそうです。
大きくなればなるほど子供は親を試します。試してどこまで押したら相手が譲ってしまうのかその境界線を試しているのです。そこで親がはっきりとその境界線を示し岩になった時、子供は不思議とそれに安心感を覚えます。これは本当に不思議だと思います。
義理の父は昔から親の作るルールが「たとえ間違っていても」良いと言っていました。親だって人間ですから完璧は絶対に不可能です。必ず間違えます。でもたとえ間違っても良いから親が愛を持って親としての立ち位置やルールや境界線をはっきりと子供に示すと、子供はそこから学びます。子供は親を参考にし後々に自分自身の人生のルールや指針を決めていくのです。親が何に関しても「あなたが自分で決めて良いのよ」と言っていたとしたら、実は子供はとても不安になるようです。子供には人生経験の不足からまだ何か正しいのか、何か良い判断なのか分からないからです。
この「親は間違っても良い」という点についてあるお話しをしたいと思います。私の日本の教会に通うある女性のお話しです。その女性は自分自身の子供時代のトラウマが原因で自分の子育てでも間違いをしてしまったそうです。そしてその結果娘さんが大きくなってから深刻な精神病になってしまいます。それはお母さんにとっても娘さんにとっても葛藤と苦しみの日々だったと思います。幸いなことにその娘さんはその後無事精神病を克服することができたそうですが、ある日元気になった娘さんがお母さんの目の前に現れて「あんたのせいで私の人生は台無しになった。私の人生を返して。あんたの事は一生許さない」と言われてしまったそうです。その時当然そのお母さんは後悔と悲しみに押しつぶされそうになるのですが、その次の瞬間「あなたは私の事を一生許してくれないかもしれない。けれど、イエスキリストは私の事を許した!」と娘さんに宣言していたそうです。すると今度は娘さんがフリーズしてしまい、無言のまま自分の部屋に行ってしまったそうです。
しかし数日後娘さんがまたあらわれて「お母さんあの時あのように言ってくれてありがとう。あのお母さんの言葉で私は目が覚めた。神様がお母さんを許しているのに私がいつまでもお母さんを許さないというのはおかしいよね」と言ってくれたそうです。私はこの話を聞いてとても深く心に響くものがありました。この時このお母さんは娘さんに自分自身の失敗と正直に向き合いながらも、自分の失敗を許しそれを乗り越えて生きていく姿勢を示し教えたのではないかと思います。親の生きざま程子供に深く教えるものは無いと思います。親は子供と共に日々成長していく必要があるのです。子育ては親にとっても子供にとっても大きな学びのジャーニーなのだと思います。
さて、今回マクリーンえり子と私、カース敦子が5月後半から6月はじめまで日本に行きます。
無料教育相談は5月23日から6月3日まで受け付けております。
東京、名古屋、大阪でお受けできますので、ご興味のある方は eriko@evakona.co.nz までお問合せください。
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