恵みの秋を迎えて
長い夏休みが終わり、1月の末にニュージーランドの学校は一斉に新学期を迎えました。それまでホリデイ・メイカーで賑わっていたフィティアンガの町も潮が引くように人々が去って行き、今はいつもの私たちの町に戻りました。
日本で言えば季節は今9月の始め、これからが私たち住民にとっての最高の季節です。日中の日差しはまだまだ強く日照時間も長く、人々は一日の仕事を終えたアフター・ファイブのひと時を楽しみます。
そして私にとってこの季節の楽しみの一つは自然の恵みの収穫です今、私の家の敷地に生えるブラックベリーの茂みはフルーツの最盛期を迎えています。ですから夕方になると私は長靴を履き、日本製の竹ざるを持って敷地の境界線に生えるブラックベリーの茂みに向かいます。小一時間歩き回るとその日に熟した黒くて甘いバラックベリーがざる一杯になります。ブラックベリーの木は棘だらけですから長靴で足を守り、摘むときは指を刺されないように気をつけなければなりません。そうして摘んだブラックベリーはりんごと一緒に煮てパイにしたり、ジャムにしたりします。そして余ったものはそのまま冷凍して1年を通して使います。これも年によって豊作、不作があり今年はまあまあと言ったところでしょうか。今年に比べると一昨年は大豊作の年でした。その年はシーズン中の夕方になると夫と息子と私の3人で収穫にあたり冷凍庫にはブラックベリーがスーパーでもらうビニールの買い物袋10袋ぐらい貯まりました。
また数年前にはマッシュルームの大豊作の年がありました。かさの部分が白く内側が茶色い椎茸のような大きさと形のマッシュルームがその年の秋には家の敷地内の牧草のあちこちに顔をだし、これもまた私たちはざるを持って毎日集めて回りました。残念ながら私にはマッシュルームの保存法が分からず、毎日飽きるほどマッシュルームを食べ続け、最後にはマッシュルームソースを作ってわずかに冷凍した程度でした。さて、今年もあと1月ほどでそのシーズンがやってきます。
また、庭に植えられた桃やパッションフルーツも今が最盛期、りんごはもう少しといったところです。私の学校エヴァの庭にも桃の木が2本ありますが、生物と有機農法が専門のドット先生が生徒たちと桃の瓶ずめを作ろうと計画中です。
海では今が一番鯵がよく捕れる季節です。夕方、フィティアンガの波止場に糸をたれると鯵がかかります。ある夕方、私は波止場で釣りをしていて鯵の群れにいきあたりました。日本製のサビキ針を使って次々とかかる中鯵で2つのバケツはすぐ一杯になってしまいました。驚いたことにヨーロッパ系ニュージーランド人は鯵を食べません。彼らは鯵は猫の餌と考えているようで、波止場で鯵が捕れても猫用以外は海に戻してしまいます。私はもちろんその日は鯵のタタキとソテー三昧でした。そして残りは二枚開きに下ろして塩をして干し、
自己流干物にして冷凍しました。
ニュージーランドの田舎に住んでいるとその気にさえなれば自給自足に近い生活が割合簡単にできるような気がしてきます。でもそれを可能にするのはまず第一に時間の使い方でしょう。そして生活を自然の恵みに合わせて働くというのは都会の生活とは違った意味であんがい忙しいものです。
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