これまでニュージーランドの学校の話題として「新学期が2月にスタートする事」や「エバコナが田舎の学校を勧めるわけ」などお話しましたが、今日はニュージーランドの高校卒業を目指す留学と、日本の高校のプログラムの一環などでする体験留学の違いについて少しお話ししましょう。
まず「卒業」留学とは日本の中学を終了して、高1からニュージーランドの高校に入り3年間の高校教育を修了するというプログラムです。近年、子供を英語圏の高校で教育しようとする日本の親御さんの数は増えていると私は感じています。日本の大学受験に偏った高校教育に疑問を感じたり、個性的な自分の子供の能力を伸ばしてやりたいと感じる親御さんも多いようで、エバコナの高校準備コース にやってくる子供たちもかなり個性的です。高校在籍中に自動車工学、作曲、演劇、サッカー、ドラム、ファッションデザイン、工業デザイン、ビジネス、映画製作などの分野に目覚め、大学や専門学校に進んでいく生徒もいます 。
ニュージーランドの教育は幼稚園の時から個性を重視ししており、学校教育でも子供の得意分野が伸ばせるようなシステムになっています。高校では自分の好きな科目を中心に選択できるようになっていて、その授業にはたくさんの体験教育が組まれています。たとえば高校でアートを学んだ私の娘はクラスが毎年参加していた地元のファッションショーに作品を出したことから、ファッションデザインに興味を持ち、大学ではファッションデザインを専攻しました。大学でも体験的な授業はふんだんに取り入れられていて、イギリスからシェークスピア劇団がやって来た時には、彼女の科が衣装の裏方をしたのだそうです。
さて、そのように個性的、体験的な教育ではありますが、その教育レベルはニュージーランドの文部省の認定単位(NCEA)を取得することで全国一律に統一されています。高1のレベル1から高3のレベル3まで、内容はかなりハードで、中学を終了した日本人の学生がニュージーランドの高校に直接入って、簡単にとれるものではありません。
そこでエバコナでは日本の中学を終了した子供たちに合わせ、4月スタートでニュージーランドの高1のレベル1をエバコナでやるという画期的なコースを12年前から始めました。このコースでは午前中は英語力の強化をはかり、午後はニュージーランド高1の教科を勉強し、NCEAレベル1の80単位取得を目指します。
2014年のエバコナ高校準備コース の生徒たちも1年間40週のこのコースで全員ニュージーランドの高1を終了し、2月から地元の高校の高2に進学しました.彼らは地元の高校で高2,高3を履修し、日本の高3より3か月早い12月半ばにはニュージーランドの高校を卒業して、あるものは日本の帰国子女枠やAO入試で日本の大学に進み、あるものはニュージーランドやオーストラリア、アメリカなどの英語圏に大学に進みます。3年間の高校在学で、英語力はもちろん、自分の得意分野を伸ばし、生活力、色々な面で逞しく成長し、国際人として歩み始めます。
それに対し、日本の高校のプログラムなどの一環として、半年から1年間の「体験」として現地の高校に留学する場合は目的が少し違います。エバコナがお世話している高校のの場合は、生徒たちは日本で高1の2学期を終えた後、1月からニュージーランドにやってきます。最初の3週間で英語の集中講座を受け、高校入学の準備をします。そして2月には地元の高校の高1に入り、その年の12月までの1年間をニュージーランドの高校で過ごします。
これらの留学生たちは英語力的にはNCEAのレベル1をこなすのが難しい場合が多く、多くの生徒たちが、野外学習プログラムや体育、調理など実利的な科目をとって英語の習得に励みます。日本の高校からすぐにニュージーランドの高校に入るのですから、最初はみんな英語の壁、文化の壁にぶつかります。こうした体験留学の場合NCEAのレベルを取ることが目的ではなく、ニュージーランドの教育環境を体験することなので、その成果は異なります。
それでも1年いるうちには生徒たちの英語力は格段に上がり、また生活力、自立心が着き、その成長には目覚ましいものがあります。
卒業留学、体験留学のどちらも日本の若者にとって素晴らしい経験です。百聞は一見に如かず、留学は国際人の育成への早道だと私は思っています。
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