先住民族伝統の儀式で新学期スタート
南半球にあるニュージーランドは今、夏です 。こちらの小・中・高校では7週間におよぶ長い夏休みが終わり、2月2日から新学期が始まりました。ニュージーランドの多くの学校では新学期の初日は、その年の新入生のためにニュージーランドの先住民マオリ族の歓迎儀式「ポーフィリ(Powhiri)」を行ないます。私の住む北島のコロマンデル半島にあるテームズ高校でも、新入生のためのポーフィリが行われました。
朝の9時から儀式は始まり、日本からの留学生を含む180人ほどの新入生が全員学校内のマライ(マオリ集会所)入り口に勢ぞろいしました。学校側からは校長先生をはじめとする先生方、マオリ文化継承会の学生たちが迎えます。
女性の声で独特の節をつけたマオリ語が響くと、それが合図で儀式が進行します。受け入れ側代表として校長先生は英語とマオリ語で、マオリ語の先生はマオリ語で新入生に歓迎のスピーチをし、続いてマオリ文化継承会の学生たちがマオリ語で歓迎の歌を歌います。
新入生の代表もお礼のスピーチをし、全員で歌を返します。こうして新入生が無事に学校に受け入れられると、最後に「ホンギ(Hongi)」というマオリ式あいさつを双方の代表者同士が交わしました。ホンギはお互いの鼻と鼻をつけるあいさつで、鼻をつけることで2者の息がまじわり、信頼を深める意味があるようです。
この儀式に初めて参加した日本、韓国、ヨーロッパからの留学生たちもみんな興味津々といった顔で儀式に参加していました。
儀式の後は引き続きマオリの伝統で、みんなで食べ物を分かち合うために体育館へ移りました。なんとそこではイギリスの伝統的「モーニングティー」、お茶とお菓子が用意されていました。このようにニュージーランドでは移住民であるヨーロッパ人と先住民マオリの文化が教育のあちらこちらで上手に融合しています。子どもたちはそうした環境の中で自然と多民族文化を受け入れていくようです。(フィティアンガ在住)
【写真説明】
校長先生がマライの前でマオリ語と英語であいさつすると
白いシャツ姿のマオリ文化継承会の学生が歌を歌って新入生をむかえる。椅子に座っているのは先生方で新入生たちは先生方の後ろに座っている。
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