真夏のクリスマス
こちらに来て3ヶ月が過ぎました。 初めて夏のクリスマスとお正月を迎えました。やはり気分は今ひとつもりあがりません。 日本のあの師走のあわただしさがないのです。
それでもやはり、こちらの人達はクリスマスに向けて何やらいそがしそうです。どの家も大きな本物のもみの木をきれいに飾りつけます。 また、部屋にロープを張って、あちこちから来たクリスマスカードを万国旗のように吊るします。
この時期、郵便局はフル回転。 それでも郵便物は大幅に遅れます。またこちらではクリスマスを家族や親戚と祝うので、おじいさんおばあさんや親戚を訪ねる人達で道路も混み合います。
ここWhitianga の私の家の周りは、親・兄弟を訪ねて留守にする家が多く、静かなクリスマスとなりました。 イブの日、居残り組みの隣人ストーン一家は、いつもミルクを配達してくるミルクマン達にワインをふるまって、道端で杯を交わしていました。
強い日差しの下でみんなTシャツに半ズボン。 なんともクリスマスらしからぬ雰囲気ですが、仕事途中のミルクマンとストーン一家は、ワインをゆっくりと楽しんでいました。
クリスマスの日、私も後ろ隣のビルとパットからワインのお招きにあずかりました。 今年ビルとパットの子供達は皆外国に出ているので、老夫婦とホームステイの日本人一人の寂しいクリスマスです。
ワインをごちそうになり、3時間ほどおしゃべりをしました。
彼らは18年前にスコットランドから移住してきた夫婦です。ですから未だにニュージーランドとイギリスの両方の居住権を持ち、末娘は今ロンドンで働いています。 「私のスコティッシュなまりの英語は、キウィ英語と違うのよ。」と言うパット。 「今でもスコットランドの友人が来ればスコティッシュを話すよ。」というビル。 でも寒いスコットランドよりここフィティアンガのほうがいいと二人は言います。
聞けば、こちらに移ってからは、ブッシュ(森)の中に家を建て、長い間電気のない生活をしていたそうです。 そして今の町中の土地を手に入れると、ビルが自分で家を設計し、人手を頼んで自分で建てたのだそうです。 そしてお金がたまるたびに増築して、今はベッドルームが4つもある大きな家に住んでいます。
そう言えば、ここフィティアンガに来て、半出来の家に住んでいる人達にずいぶん会いました。 その人達は皆、自分達の家を自分達で設計し、材料を集め、大工さんと一緒に自分も作るのです。 気に入った材料をより安く手に入れ、時間をかけて完成していきます。
資金が尽きるといったん中断。 まだトイレが家の中に出来ていない家や、シャワーはあるけどバスはまだ未完成の家。 バスタブを庭先において、時々露天風呂を楽しむという人にも会いました。
これはニュージーランド式カントリーライフなのでしょうか。 オークランドのような大都会ではたぶんこんなことはないと思います。 フィティアンガでは、自然を愛し、ゆっくりとした人生設計で生活を楽しんでいる人たちに会います。
そういえば、こちらに来て仲良しになった郵便局に勤めるローラも、今2階を増築中です。 もちろんご主人のアーティが中心になってやっています。 先日私が訪ねると「階段が出来たのよ」と言って、半出来の2階を見せてくれました。 広いフロアは3部屋に分けてありますが、まだ壁が出来ていません。 でも資金切れで一旦ストップ。 「2階からの眺めが素晴らしくて完成を待っていられないの」とローラはすでに夫婦の寝室を2階に移し、材木の転がる中で寝起きしています。
時間がかかるほど楽しみも伸びる、とあせる様子はありません。
でもそのローラが、先日ロトという5ドルの宝くじで3千万円の賞金を獲得しました。 これはフィティアンガ始まって以来のことです。 うわさは一挙に町中に広がりました。 お祝いの電話をかけると、ローラはうれしそうに「これで2階が完成するわ」と言っていました。
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