皆さんこんにちは。
エバコナスタッフのカース敦子です。以前のブログでも書いていますが、ニュージーランドは幼児教育から始まって、子供の個性を尊重し、自主性や自立心を育む教育を大切にしています。このニュージーランドの教育方針の目指すところは何なのか、ニュージーランドの幼児教育カリキュラムTe Wharikiに書かれているものと、私自身の今までの経験を元に考えてみました。そして「一人一人の人間が社会の中で自分のアイデンティティーをしっかりと持ち、自信を持って社会に貢献できる人間として成長する」では無いかと思いました。
ニュージーランドの幼児教育のカリキュラムは4つの教育理念に基づいています。
以下は私自身の理解でザックリと書いてみました。
- Empowerment 自己肯定感。子供が自分の意思を尊重され、自分の興味のある事を自由に学習する事が大切にされ、守られることから自己肯定感を育み、自分ののアイデンティーを見出し、自由に自己表現をできる自信のある人間へと成長する。
- Holistic Development 子供の発達や成長は知覚/知能、身体、感情、霊性/スピリチュアリティーや社会や文化等沢山の側面からできあがる。子供の成長には一つの側面にだけにフォーカスした狭い教育では無く、広い視野を持ち個々の子供に合わせた教育が必要である。
- Family and Community は子供の健全な成長にはその子供の家族、そして子供を囲むコミュニティーの存在が欠かせない。そのために子供と子供を囲む大人たちが尊重され、子供のルーツや文化が尊重される経験を通して子供は自分のアイデンティティーを形成していく。
- Relationships 子供たちは良い人間関係とコミュニケーションを経験することからこの社会で自信を持って他の人と関わり、自己表現をする事を学ぶ。
ニュージーランドでは幼児教育では子供の自発的な自由遊びをさせています。例えば子供が1日中砂場でドロドロになって砂遊びをしていたり、蟻の巣を見つけて1日中同じところでそれをジーっと観察していたとしても、先生はそれを止めません。なぜならば、砂遊びを通して子供は砂と水という物質の関わりについて学んでいたり、砂に指で絵を描く事から文字の書き方の練習をしていたり、蟻をじっと観察する事で集中力を身につけたり、観察したものを先生に後で伝える事で自分の気持ちや考えを言語にして表現する能力を育んでいたりと、子供の自発的な自由遊びから得られる子供の脳の発達は無限にあるからです。
それと同時に子供同士が喧嘩をしていても、教師はなるべくすぐに止めないで子供同士で解決をさせるように見守ります。というのも人間同士の問題解決能力は小さい時からのこのような経験の積み重ねから育まれるからです。そして、子供が木登りしたり、急な土手を滑り下りたり等、少し危険な遊びをしていても、多少の怪我を覚悟で子供にそれをやり通させる(そこでも簡単に手助けしない)という形で接します。
子供は様々な経験を通し、大人が口や手を出し過ぎないで見守るという姿勢で関わる事から、自分を信じ、自分はこの世の中で問題に直面しても自分で解決する能力のある人間だという自己肯定感を育むのだと思います。また、問題や困難な事に直面してもそれを大変な事と考えず、自然な事として受け入れていく心が育つのではないかと思います。
この考え方は小学校、中学校、高校の教育でも一貫しています。一つのクラスで子供たちがそれぞれ自分のレベルに合わせた勉強をしていたり、学習は子供の主体性を大事にします。高校生になると40~60種類の科目から自分の好きな科目を選んで学習し、保護者面談でも先生が子供を評価するのでは無く、子供が自分の学習態度や学習状況を自己評価したりします。
ニュージーランドでは学校教育や勉強というもの自体が、子供の時から自分自身の選択であり、自由というのは同時に責任を伴うという事を体験的に学びます。このような考え方が日本の教育システムとは根本的に違う点では無いかと私は思います。
今世界中が揺れており、不確かな事が本当に多い世の中です。そんな世の中で自分というアイデンティティーをしっかりと持ち、芯の強さを持って社会で生きていける子供たちを育てていきたいと思います。