木村 淑子さんがエバコナに留学したのは2012年の10月でした。長年、日本の病院で看護師として大変忙しく働いてきましたが、かねてから海外旅行が趣味で海外の生活にも興味があり、留学しようか悩んでいたところ、同僚が、何かやってみたいことがあったらしてみるべきと背中を押してくれたのだそうです。そこで思い切って仕事を辞めて留学を決意します。
淑子さんは10月から翌年の4月までの7カ月程エバコナの一般英語コースで勉強してくれました。その期間、淑子さんは積極的に様々な新しい事に挑戦し、ホームステイだけでなく現地の人たちとの共同生活/フラットも体験しました。また、近くにあるラベンダー畑を見学に行ったり、ニュージーランドの地元産のティーツリーオイル(ティーツリーとはマヌカハニーの木で、ティーツリーオイルは殺菌効果の強いオイルです)やマヌカハニーに触れ、ホームステイ先のホストマザーに実際にティーツリーを見に山に連れて行ってもらったりもします。
そんな中、淑子さんは帰国も近い3月に突然交通事故にあい、膝蓋骨を骨折し、緊急施術を受けました。そんな大変な災難にあいましたが、松葉づえで歩いていると必ず誰かが声をかけてくれたり、助けてくれたりして、ニュージーランド人の優しさや心のゆとりに心を癒されたそうです。
日本に帰国した淑子さんはしばらくリハビリに時間を費やしますが、その後以前の仕事には戻らず、留学前から学び、資格取得していたアロマセラピーサロンとスクールを立ち上げます。20代の時にストレスから酷い脱毛症を経験し、ストレスというものの身体への影響を実感していたため、ストレスを緩和する、病気を予防するということの大切さを痛感していました。そのため、看護師の仕事のかたわらでワークショップに参加し、その後マッサージのスクールにも通ってどんどんとその道へと進んでいたのですが、なかなか安定した看護師の仕事を辞めて独立する決断には踏み切れなかったそうです。
そんな時、淑子さんはニュージーランドに留学をしました。ニュージーランドでは周りの人が本当に自由に生きていて周りの目を気にせず堂々と自分らしく生きていたり、みんな収入や肩書を気にせずに「何とかなる」という気持ちでみんな楽しく自由に生きている様子を見て淑子さんは自分も無理したり、我慢したりしなくても良い、もっと自分らしく自然体に生きて大丈夫なのだと思ったそうです。そして今まで自分が自分をがんじがらめにして生きていたのではないかと気づいたと言います。
以前は外国人を見ると「自分は英語が喋れないから」と決めつけて外国人を避けていたそうですが、留学から帰国してからは困っている人を見かけると自分から英語で話しかけられるようになったそうです。
今ではサロンとスクールの運営も軌道にのり忙しい日々を送る淑子さん。数年前からはJICA(ジャイカ国際協力機構)から仕事を請け負うオイル専門の技術コンサルタント会社の依頼を受け、発展途上国を支援するために、捨てられている木の実等の資源を元にマッサージオイルのベースとなるキャリアオイルを作るプロジェクトのアドバイザーとしての仕事もしているそうです。これもニュージーランドでエコ生活をする人々を見て、資源を無駄にしない、資源を有効利用するという事の大切さを痛感したことがきっかけだと言います。今は大学で共同研究していますが、ベトナム人の留学生と英語でやりとりする場面もあり、留学で英語のコミュニケーション力を学んでいて本当に良かったと思っているそうです。また、未利用資源についての仕事は、世界を視野に入れたプロジェクトなので、いつか学んだ英語が活かせる機会もあるかもしれないと淑子さんは話してくれました。
ストレス緩和/病気の予防や人道支援、資源の有効利用等と自分の信じる事を様々な分野で取り組んで生き生きと活躍する淑子さん。淑子さんの次なるステップは何なのか、とても楽しみです。
コメントを残す