大木有光さんがエバコナに親子で留学してくれたのは2011年7月頃でした。日本では精神保健福祉士の国家資格を持ち、精神科ソーシャルワーカーとしての仕事をし、その後メンタルクリニックの経営に参画していた有光さん。メンタルクリニックでは心理カウンセリングやデイケア、訪問看護等、様々なサービスを提供し大変多忙な日々を過ごしていました。そんな時、東日本大震災と原発事故が起こります。そしてこの原発事故は有光さんにとって人生を大きく変えるきっかけとなりました。以前から家族との時間をもっと持ち、海外に行きたいという夢を持っていた有光さんですが、これを機に思い切って仕事を辞めて家族での海外留学を決心します。色々と調べた有光さんは自然の豊かなニュージーランドを留学先として選びます。そして、ニュージーランドに行く前の準備としてフィリピンへも2カ月程留学をしたそうです。
ご夫婦でエバコナの一般英語コースに入学してくれた有光さんは1年半程エバコナのフィティアンガ・キャンパスで勉強してくれました。留学当初は息子さんはまだ幼稚園児でニュージーランドに来てすぐこちらの幼稚園に入園しました。有光さんご夫婦はニュージーランドで暮らすうちに、永住する事を検討するほどニュージーランドが気に入ったそうです。ニュージーランド滞在の後、オーストラリアにも滞在した有光さんはフィリピンを含む3か国で暮らしてみてそれぞれの国の政治や政策が人の生き方に大きな影響を与えることを感じたそうです。例えば、ニュージーランドで出会ったあるシングルファーザーが生活にあくせくもせず子供たちを家庭教育してマイペースで生活をしている様子を見たり、貯金をすることを優先せず旅行等をどんどん楽しむニュージーランド人の生き方を見て日本人との考え方の違いに驚いたそうです。「生活ができていれば大丈夫」と自分のライフスタイルを優先し、お金のことをあまり心配しないで自由に生きているニュージーランド人を見て、もっと心にゆとりを持って生きる事、そしてもっとリラックスして生きる事について考えさせられたそうです
有光さんは日本に帰国してからは、新たに障害福祉サービスに携わります。メンタルヘルス等が理由で就職や生活が困難となっている方々のために、職業訓練や相談の場を提供し、就労や生活をサポートしています。ちらしの配布、内職の請負、清掃業、お菓子の製造やカフェの運営等様々な分野の職業訓練を行い、社会で一人一人が自分の足で立って生きていけるようにサポートをしていきます。
ニュージーランドに来てみて、社会が変わらないとメンタルヘスは変わらないのだという事に気が付いたという有光さん。社会を変える第一歩としてメンタルヘルスで悩む人達が社会の中で自立して自分らしく生きることをサポートし、彼らが生きる意味を見出すお手伝いをしようと考えています。メンタルヘルスを「治療する」という立場から「それぞれの人がありのままで社会に貢献する事をサポートする」という立場に変わった時に新しい希望と喜びが生まれ、有光さんの事業は今や日々沢山の問い合わせがあるそうです。
数年前には自社のカフェで作っている焼き菓子がパレスホテル大宮の焼き菓子コンテストで優勝する等、有光さんの活動は様々な面で評価を得ています。
また有光さんは自分の職場で働くスタッフの残業を無くすようワークシェアをし、夕方5時前にはみな帰宅できるように経営方針を変えました。それはニュージーランドで経験した個々のライフスタイルを大切にする生き方から気づいた方針です。
個々の人が幸せになる時、社会全体が幸せになる。有光さんは日本の社会がもっと良いものになるようにこれからも活動を続けていきます。
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