豊かな人生とは・・・
今年もまた忙しい夏のホリデーシーズンがやってきました。フィティアンガの町の人口は今10倍に膨れ上がっています。近隣のモーテルはすべてふさがり、いつもはがら空きの町の駐車場は一日中車でたて込み、スーパーのレジはいつ行っても行列、海岸も海水浴客で賑わっています。町の商店は正月も返上してフル回転で営業し、この2ヶ月で1年分の収入を稼ぐ勢いです。町の住民にしてもやはりこの時期は稼ぎ時です。若い家族などは自宅を別荘として貸し出して、その間、実家で暮らしたり、ヨットで生活したりしてます。
私たちも去年まで、この時期には毎年町の喧騒を避けて友人のヨットでセーリングにでていました。そのヨットは40フィート(12メートル)のカタマラン(二艘のヨット)で9人乗り、友人のご主人が自分で作ったものです。10年前彼らは家族4人でこのヨットに乗って日本にまで行きました。環境保護に関心の深いご主人の主義でこのヨットはコンピューターシステムを一切使いません。主に太陽熱を使い、大きなセールと小さなモーター、地図とコンパスを使って進みます。1週間から10日間のセーリングで私たちはコロマンデル半島に沿ってマーキュリー島、グレイト・バリアー島などを回りますが、電話もテレビもコンピューターもお風呂もないその生活はとても楽しいものです。毎日、ダイビングをしたり、魚を釣ったりして食料とし、美しいビーチを見つけると錨をおろして探索します。嵐の日には島陰に非難して船倉で読書三昧、満天の星を仰ぎながら夜の航海をすることもあります。普段、無造作に使っていた水や食料や紙を節約し、狭い船上での共同生活は不思議と私たちの1年の疲れを取り除いてくれます。
一般的にニュージーランド人は生活の中でこうした時間を大切にしているように思います。先月、私の夫のエディは弟のジョーと一緒に恒例の鹿狩りにいきました。ヘリコプターに乗って人里離れた原生林に降ろしてもらい、電気も何もない掘っ立て小屋にベースをとって1週間、銃を抱えて毎日何キロも森を歩き回ってきたようですが、片田舎のファームで育った彼らにとってそれはまさに命の洗濯のようで毎回嬉々として出かけていきます。
そして、わたしの学校エヴァで英語を教えているドット先生や会計係りのジネットさんなどもそれぞれご主人の手作りのヨットで世界1周しています。2人共50歳という人生の節目をむかえ、すっぱりと人生を切り替え、それぞれ5年間かけて世界を回り一昨年フィティアンガに戻ってきました。その長い休暇はすばらしく、彼らの人生をさらに豊かにしてくれたと言います。
また最近、手作りの飛行機を6年がかりで完成し、今、夫婦で飛び回る計画をたてている友人もいます。
フィティアンガでは大なり小なりこうした経験や計画をもつ人々によく出会います。一方では平凡な仕事をしながらも、つきぬ好奇心をもってそれぞれのやり方で人生を充実させてゆくその生き方はここではごく普通のことのようです。
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