Evakonaエバコナという学校名は変わった名前だと思われ方も多いのではないかと思います。エバコナのEvaエバというのは船井幸雄さんの「エバへの道」という本を読んで校長マクリーンが選びました。その本によるとエバとは「一人一人が幸せになると社会が良くなる」という意味だそうです。それにakonaアコナというマオリ語を加えました。アコナとはマオリ語で学ぶという意味です。ですからエバコナはこの二つの言葉が一つになったものです。エバコナはエバを学び目指す学校ということになります。
さて、以前からニュージーランドの個性を大切にする教育に関しては折々に触れてきています。個性とはその人が持って生まれた性質、特徴、性格等なのではないかと思いますが、それぞれの人がその生まれ持った個性を生かしてこの世で自分らしく生きるというのどういう事なのでしょう。
先日マクリーンがYoutubeで面白いビデオを見たそうです。それは有機農業を長年やっていて辞めたという人のお話だったそうです。ある日、その方は自分が有機肥料で大事に育てたミニトマトとモロヘイヤを食べてみたのだそうです。確かに両方とも肥料が利いて甘くておいしかったのだそうですが、彼は「あれ、違う野菜なのに同じ味だ」と気付いたそうです。それぞれの野菜の味は本来のものではなく、肥料によって作られていると気づき、それ以来、彼は肥料を使うのをやめたということです。これを聞いたとき、マクリーンは子供たちの留学はある意味でこの「肥料を断つこと」になるのではないかと感じたそうです。それまで、親元で肥料たっぷりに大事に育てられてきた子供たちが、留学して独り立ちを学び、異文化の中で自分を見つけるチャンスを与えられる。留学という新しい土壌で子たちはそれぞれの個性的な味を育て始めるのではないでしょうか。
子供が成長する過程で、安心して暮らせる環境、栄養のある食べ物、愛情を受けて育てられる事は言うまでも無くとても重要な事です。しかし、子供が育っていく成長過程で必要なサポートというものは常に変化していくものです。これは親にとって見分けるのがなかなか難しいように思います。私自身子供を育てていて、「良い親をしているつもり」で口を出し過ぎる、干渉し過ぎてしまう事が多々あります。子供は日々成長していきますが、親のほうがそれについて行けず、いつまでも子供が小さいままのつもりで過保護に接してしまう、そんなことってありませんか?細部まで親が子供の生活に干渉し管理しようとすればするほど、子供はそれが当たり前になり、人に頼るようになり、人任せ/受け身になって自主性を失っていきます。それが子供が自分に自信をつける事への妨げとなります。自信は多くの場合「人生の体験」特に「失敗」や「困難」を体験し、それを自分で乗り越えていくことからついていくものですが、周りが手や口を出し過ぎるとその機会を奪ってしまいます。
またマクリーンが見たもう一つのYoutubeでは、ある方が一つの畝でいろいろな野菜を一緒に育てることということをしていたそうです。その方は一つの畝にブロッコリーやニンジンやレタスやその他の野菜を一緒に植えて育てていました。すると不思議なことに、それぞれの野菜が一緒に働いて虫や病気にも強くなるのだそうです。これは人間社会と同じではないかとマクリーンは感じたそうです。多種多様な人がそれぞれの特技を生かして、より良き社会を共同で作る。ニュージーランドの教育を経験して自分の個性に自信を持った若者が、社会で活躍していく。それはエバコナの目指す教育でもあります。
留学によって物理的に親元を離れることで、最初はショックと戸惑いがあった子供たちはいち早く環境に慣れ始めます。自分の生活は自分で面倒を見る留学生活には自由があり責任があります。そして同じ留学生同士で協力して助けあうことも学びます。まさにそれぞれ違う野菜が肥料を断って一つの畝で一緒に成長することで、伸び伸びとそれぞれの味を生かして育っていくようです。
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