7月に入り、やはり雨の日が多くなってきました。一度は豪雨があり、その時は低地に川の水が溢れ、牛や羊が足まで水に浸かり、一度道路も閉鎖されました。年によっては豪雨が続くことがあり、川の水が溢れ出し満潮と重なると、海岸に面したフィティアンガの町の一部が浸水することもあるそうです。
ニュージーランドに来て驚いたことは、川に堤防がないことです。都市部は別ですが、どの川も人工的な手を加えられることなく悠々と緑の田園を流れています。それにしても大雨による洪水の被害はないのでしょうか。エリア・スクールの校長先生に伺うと、「この国は人口が少ないので、予算をかけて堤防をつくるまでもないんですよ。浸水しそうになったら川の周辺の一軒か二軒の住民が避難すれば済むことで、多少の動物の被害は出ますが。」というお話です。確かにそういわれるとうなずけます。人口過密都市東京から来た私には想像もつかない事でした。
雨の日、フィティアンガの町を歩いていていつも思うのは、傘をさしている人が少ないということです。車で町まで来るとあとは傘なしで歩き回ります。また日本で普及している装飾的でファッショナブルな傘などもなく、実質的な傘が、むしろしっかりした厚手のレインコートを着るほうが多いようです。やはり牧場や海で働く生活習慣からきているのでしょうか。
こちらは雨の晴れ間も多く、人々はその晴れ間をぬって働いているようにも思われます。
さて海では、7月からクレイフィッシュと呼ばれる伊勢海老の漁が始まりました。そして鯛はシーズンを問わず一年中釣れます。フィティアンガの魚屋にはいつも釣りたての魚が並んでいます。川をはいで三枚におろしたタイのフィレや、ジョンドーリー、キングフィッシュ、ガーナード等など、日本では見かけない魚も色々おいてあります。魚の料理法は、ソテーとディープフライと呼ばれる揚げ物が主流のようです。
うれしいことに、日本では高級なしま鯵の釣りたてが、こちらでは信じられない安さで手に入ります。こちらの人たちはしま鯵をまったく食べません。それどころか、これを主に鯛釣り用の餌に使っているので、魚屋に行くと釣りたての30センチから40センチ位のものが一匹500円ほどで買えます。こちらに来て、しま鯵の刺身は十分堪能しました。
また子供たちが桟橋で釣ってくるイエローテールと呼ばれる中鯵も、こちらの人達には猫の餌ですが、私たちはたたきで楽しみます。その他、マレットと呼ばれるぼらや、夏場にはスキップジャックと呼ばれる鰹もよく釣れて、やはり鯛釣り用の餌になります。もちろん私はそれも刺身にします。こちらでこんなに新鮮な刺身が豊富に食べられるとは思っていませんでした。ただ、その新鮮な魚を使ってあの東京の乾燥し寒い冬に欠かせない鍋料理をするには、こちらの冬は温暖すぎてもの足りません。それがちょっと残念などと言ったら贅沢でしょうか。でも大根と本わさびが無いのはやはり残念です。
今週、子供たちのかようエリア・スクールはでは、School Spirit Weekという催しをやっています。これは雨の多い冬の低調な気分を楽しい行事で払拭しようという企画で、毎年この時期に一週間の昼休みを使って、全校生徒が一緒にゲームを楽しみます。“目隠しゼリー食べさせ競争”“風船のひげ割り競争”“ブラインドデート”“プレゼント回し”など愉快なゲームや、またある時は、上から下まで一色に統一した服を着る日もあって、その日の息子の先生は、髪の毛まで赤く染めて赤一色でやってきました。
そうした催しは、先生も生徒も無邪気に加わり楽しみます。
フィティアンガの冬はまだ一ヶ月以上続きますが、日本の梅雨のようにじとじとせずに、しっとり・ひんやりとしたこの冬が、私は気に入りました。
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