ニュージーランドは体験教育の国です。高校生のための帆船プログラム「スピリッツ・オブ・ニュージーランド」についてには以前ここでもご紹介しましたが、今回は、同様のニュージーランドアウトドア教育のひとつで、若者から成人、ビジネスマンのための体験プログラムを1年を通して行ってる「アウトワード・バウンドOutward Bound* 」のお話です。
*アウトワード・バウンドは1941年にイギリスで開設され、現在は世界30カ国以上にネットワークを持つ非営利の冒険教育機関です。私たち人間の本来持っている可能性を引き出し、そして、高めることをミッションにして、子どもから大人までを対象に大自然のなかでプログラムを実施しています。アウトワード・バウンドのプログラムがオリンピックアスリートのトレーニングや宇宙飛行士のトレーニングに採用されたり、義務教育に取り入れられている国もあります。 私たち日本アウトワード・バウンド協会は子どもから大人までが、大自然のなかで思いっきり自分を試し、自分の可能性を感じることの出来る場を提供したいと思っています。(日本アウトワードバウンド協会ウェブサイトより)
エバコナで長年アクティビティー・プログラムを担当しているリーゾル先生が、今年の8月にニュージーランド南島で行われているこのアウトワード・バウンドに参加しました。その素晴らしい体験談を書いてくれましたのでご紹介したいと思います。
リーゾル先生の体験記
「私は南島のブレナムで行われた1週間のアウトワード・バウンド・コースに参加しました。私は普段からとても活動的で、野外活動やチャレンジが大好きな人間です。ですからこのコースにワクワクしていましたが、一つだけ心配がありました。それはこのコースでは、真冬なのに凍えるような冷たい水に飛び込まなければならないことでした。
さて、私のコースには13人の大人が参加しましたが、この13人はコースの初めから終わりまで片時も離れずに行動を共にしました。この13人は救急車の隊員、海岸や陸上の救助隊、女性救援センターの職員等々それぞれが素晴らしいキャリアを持った人たちでした。
初日に私たちは、港町ピクトンに集合し、ポーラとステフという2人のアウトワードバウンド指導員に会いました。会うとすぐ私たちは本、携帯電話、すべての電子機器を彼らに預けるよういわれ、そのあと全員で小型の船に乗り込みました。その日は雨でみんな 厚いレインコートを身に着けると、自分たちでナビをしながらピクトンからマールボロー海峡の小さな湾に向けて舟をこぎました。私たちは帆も使いながら効率よく船を扱うように教えられましたが、生憎その日は風がなく、ほとんどオールを使って漕いで渡りました。そしてついに目指す地点に着くとそこは静かな素敵な湾でした。そこには宿泊施設があり私たちはコースの間そこに宿泊をしました。
到着後まず私たちはトレーニング用の服に着かえ、30分間体操をしました。そして体が温まると、私たちは波止場に連れていかれ、波止場から凍えるような海に飛び込むように言われました。全員が水に入ると指導員たちは1分間はかります。全員水の中で飛び上がったりして寒さに耐えました。あまりに冷たくて体中が針で刺されているような感覚でしたが、1分後私たちは水から出ることを許されました。水から上がった時にはすごく達成感を感じました。
次の日、私たちは6時に起き日課の体操と再度1分間の寒中水泳をしました。それから朝食を食べると、荷物をつめて「1人で過ごす」至福の時間に入ります。野外で各自に与えられた場所にて36時間の間、私たちはそれぞれ一人で過ごしました。私は横になって青空を眺め、小鳥のさえずりを聞き、木立に吹く風の音に耳を傾けました。なんという平和。いつもの忙しい生活を離れ、時間はゆっくりと過ぎていきます。
一人の時間の次は美しいクイーン・シャーロットのトレッキングコースを6キロ走りました、そしてその後はもちろん冷たい海に飛び込みました(笑)。冷たい水がだんだん体になじんでくるのを感じました。
そして次の日は1日ライ川をカヌーで下りました。カヤックは私の大好きなアクティビティーです。もっと乗りたいと思いました。最後の日の朝、私たちは8キロ走り、最後の冷たい水風呂に入りました。その時はみんなで手をつないで水の中を歩きました。
コースの間に私は自分自身について、良いことも悪いこともたくさんのことに気づきました。私にとって簡単なことでも、人にとって難しい場合はそうした人にチャンスを譲るということ、またすべてを自分でしてしまうのではなく、人にしてもらうことを受け入れる、ということも学びました。13人は共に暮らす中で深く結びつき助け合うことを学びました。すべてがとても素晴らしい経験でした。このコースへの参加を皆さんにお勧めします。
最後に私の大好きな言葉を送ります。
「船は港にいれば安全だけれど、船は港にいるために作られたのではない」
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